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2022年04月27日
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vol.1077 記事一覧

3月の概況と4月の見通し

まいわし

まいわしは、まき網では常磐沖や太平洋中部水域(静岡県~三重県沖)、山陰沖、対馬沖等で漁獲された。常磐沖ではまいわし主体の水揚げが続き、1日あたり2千~6千トンのまとまった漁獲が数日みられた。常磐の魚体は、30~60gの小中羽~中羽主体であった。3月中は山陰沖でも好漁が続き、境港では1日あたり1千500トンを超す水揚げが延べ8日間みられた。魚体は55~75g主体と小さかった。また、定置網では引き続き三陸沿岸や北陸の富山湾や能登半島沿岸で水揚げされ、特に北陸では型の良いものが漁獲された。

3月上中旬の主要港における水揚量(以下「3月上中旬の水揚量」という。)は3万6千トンで、前月から8%増加し、前年同月から48%増加した。価格は36円/kgで、前月の16%安、前年同月の4%高であった。

消費地(東京)におけるまいわしの入荷先は、石川・鳥取主体に千葉・富山・京都等からであった。3月上中旬の入荷量は前月から19%増加し、前年同月から59%増加した。価格は前月の12%安、前年同月の35%安であった。

今後、産卵を終えた群れが三陸~常磐沖へ徐々に北上するが、漁獲がまとまるのは入梅の頃と想定される。東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。

さば類

さば類は、まき網では常磐沖、太平洋中部水域(静岡県~三重県沖)、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)等で漁獲された。常磐沖では、引き続きまいわし主体の水揚げで、さば類は低調であった。魚体は80~300gと小さく、銚子では例年通り静岡沖の漁獲物(200~600g)の搬入がみられた。山陰沖や東シナ海のまき網も他魚種(まいわしやまあじ)主体の水揚げだったことから、さば類は低調であった。伊豆諸島水域ではタモすくい網漁が行われ、まさば主体にごまさばを漁獲した。また、富山湾では定置網の水揚げもみられ、3月は1千300トンで前年(400トン)、過去10年平均(600トン)を大きく上回った。

3月上中旬の水揚量は1万2千トンで、前月から4%増加し、前年同月から67%減と大幅に減少した。価格は90円/kgで、前月の21%安、前年同月の5%高であった。

消費地(東京)におけるさばの入荷先は、まさばは三重主体に静岡・富山・石川等から、ごまさばは長崎からであった。3月上中旬の入荷量は前月から13%増加し、前年同月から30%減少した。価格は前月22%安、前年同月の6%安であった。

今後、東京への入荷量は低調・横ばいと見込まれるものの、卸売価格は産卵後の身質の低下からやや弱含みで推移すると見込まれます。

するめいか

小型いか釣り漁船によるするめいか漁の漁場は、産卵群の南下により、日本海側の山陰及び九州北部のみに形成された。過去最低水準の資源量であることもあり、極めて低調な漁況であった。また、近年、端境期にあたる1~3月は富山湾の定置網(氷見等)のみ好漁であるが、3月は190トンで他の地域より漁獲量は多いものの、前年(650トン)、過去10年平均(480トン)を下回り低調であった。

一方、中型いか釣船(船凍)による日本海のするめいか漁は、3~4月は禁漁期であるため、2月末~3月初めにかけて八戸や小木で今期の最後の水揚げを行った。

3月上中旬の生鮮するめいかの水揚量は、119トンで前月から34%減少し、前年同月から21%減少した。価格は675円/kgで、前月の20%高、前年同月の20%高であった。

消費地(東京)におけるするめいかの入荷先は、石川・富山・山口・長崎等、活物は静岡・千葉・三重等であった。3月上中旬の生鮮するめいかの入荷量は前月から12%減少し、前年同月から41%減少した。価格は前月の9%高、前年同月の15%高であった。

漁の端境期のため、生鮮物の東京の入荷量は引き続き低調、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。冷凍物は、いか類の輸入が安定していることから、当面は入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれるものの、円安による輸入価格の上昇から、長期的には入荷量が減少し、卸売価格が強含む可能性があると考えられます。

まあじ

まあじは、まき網では山陰沖、対馬沖・九州西沖(五島沖)等に漁場が形成された。山陰沖ではまいわしの水揚げが好調だった反面、まあじの漁況は低調であった。対馬沖・九州西沖では3月になると、さば類やぶり混じりながら、まあじの漁獲が上向き、松浦や長崎、唐津主体に水揚げされた。

3月上中旬の水揚量は2千400トンで、前月から19%増加し、前年同月から26%減少した。価格は195円/kgで、前月並み、前年同月の5%高であった。

消費地(東京)におけるまあじの入荷先は、中あじは長崎主体に静岡・宮崎・佐賀等、中小あじは新潟・宮崎、小・豆あじは三重主体に千葉・新潟・京都等からであった。3月上中旬の入荷量は前月から10%増加し、前年同月から9%減少した。価格は前月並み、前年同月の10%安であった。

今後、産卵期を前に集群し水揚量が増加すると予想され、東京への入荷量は徐々に増加し、卸売価格はやや弱含みで推移すると見込まれます。

かつお

今期のかつお近海竿釣り漁は、燃油高騰等から出漁を例年より約2週間遅らせ、1月下旬に始まった。主漁場は奄美大島東方海域に形成され、鹿児島主体に宮崎等に水揚げされた。鹿児島の1~3月の水揚量は1千957トンで、前年(1千745トン)並みであったが、前々年(547トン)を大きく上回った。魚体は特大(7~9kg)主体であったが、3月下旬になると2kg級の小型サイズが増加した。一方、小笠原諸島~伊豆諸島南部にはほとんど漁場が形成されず、千葉県勝浦の1~3月の水揚量は13トンで前年(954トン)、前々年(388トン)を大きく下回った。

3月上中旬の生鮮かつおの水揚量は、1千300トンで前月の10倍、前年同月から5%減少した。価格は286円/kgで、前月の33%安、前年同月の18%高であった。

消費地(東京)におけるかつおの入荷は、鹿児島主体に静岡・三重・長崎・宮崎等からみられた。3月上中旬の入荷量は前月の4.4倍、前年同月から8%減少した。価格は前月の34%安、前年同月の15%安であった。

今後、東京の入荷量は増加し、卸売価格は小型サイズが増えてきていることからやや弱含むと見込まれます。

(水産情報部)

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