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vol.1069

令和4年2月のスルメイカ漁況について

1.2月のスルメイカ漁について

1)全国の生鮮スルメイカの水揚げ動向
 JAFIC主要港における生鮮スルメイカの2022年2月の水揚量は211トンで、2000年以降の2月の水揚量としては、1月に引き続き最低であった。前月の268トンから2割減少、前年同月の518トンから6割減少した(図1、2)。 2)生鮮スルメイカの月別平均価格の推移
 2022年2月の生鮮スルメイカの月別平均価格は572円/kgで、前月から2%上げた(図3)。2020年2月、2021年2月並みの価格であった。 3)各地の漁場形成の特徴
 中型いか釣り船(船凍)は、日本海の対馬東(図4のA)で、小型いか釣り船に混じってスルメイカ漁を行った。中型いか釣り船の日本海のスルメイカ操業は3〜4月が禁漁期間で、2月末〜3月初めに八戸や小木で今期の最終水揚げを行った。
 小型いか釣り船によるスルメイカ漁は、山口県見島沖(図4のB)を中心に対馬・壱岐・隠岐などで操業した。
 海面水温の低下により、壱岐・対馬では2月上旬に漁獲が一時的に上向いたものの、昨年同期の1/3の漁獲量に低迷した(図5)。一方、山陰(特牛・浜田・境港)では2月上旬に、昨年同期より1旬早く南下群の来遊が見られたものの、2月中旬以降失速した(図6)。
 また、富山湾の氷見等の定置網では、例年、1月にスルメイカの入網が始まり、1日10トン前後の入網があり、1〜3月に累計で1.2千トンの水揚げがある。今期は1月〜3月前半の累計水揚げ量は500トンと前年・例年の半分以下の漁獲量に留めた。(図7)。 4)冷凍スルメイカの月別水揚げ状況
 主要港における冷凍スルメイカの2022年2月の水揚量は83トンで、前月の2割減、前年同月の2割であった(図8)。年内で操業を切り上げた船が大半で、年明けに操業した船は十数隻で、1月後半〜2月前半には、大半が三陸近海でアカイカ漁を行なった。アカイカ漁を終えた船は、2月下旬に日本海の対馬東沖でスルメイカ漁を行い、今期の操業を終えた。 5)冷凍スルメイカの月別平均価格の推移
 冷凍スルメイカの2021年の月別平均価格は600円/kg台で推移していたが、2021年12月に862円/kg、2022年1月827円/kg、2月890円/kgと、800円/kg台をつけて急騰し、2019年10月〜2020年3月の千円/kg台に次ぐ高価格帯となった(図9)。

2.三陸沖のアカイカ冬季漁について

 三陸近海(図4のD)では、アカイカ冬季漁が1月下旬に始まり、計11隻が操業した。当初は1日1隻あたり1〜3トンの好調な漁獲であったが、2月に入ると時化が多く、2月中旬には終漁した。アカイカ冬季漁の漁獲量は、194トンと4年ぶりに三桁の漁獲量となり、八戸港に全量水揚げされた(図10)。3月上旬の最終水揚物の平均価格は630円/kgで、前年同期の5割高であった。開き耳取りは、751円/kgの1994年以来の高価格を付けた(図11)。

3.今後の動向等について

 国内のスルメイカ漁は、冷凍物を水揚げする中型いか釣り船が禁漁期間に入ったことから、今後の水揚げは生鮮物のみとなる。3〜4月には生鮮スルメイカの水揚げの端境期となり、小型いか漁船の主漁場は産卵場周辺である対馬東沖〜山陰沖のみとなり、漁獲量はさらに減少する(図1参照)。
 秋季発生系群が索餌回遊を始めて北上し、能登半島沖(金沢港主体に水揚げ)で小型いか釣りの漁獲対象となり、まとまって獲られ始めるのが、例年、4月末〜5月上旬からである。この頃には、今期の秋季発生系群の資源動向(稚イカの加入状況)が多少見えてくるので、今後注視したい。

   (水産情報部)
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