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vol.1068

2月の近海カツオ竿釣り漁場と生鮮カツオの水揚状況について

1.近海竿釣り船の漁場

 今期のカツオ近海竿釣り漁は1月26日ごろからスタートし、小笠原西方を探索したが漁がまとまらず、主に奄美大島東方海域に漁場が形成された(図1)。漁場水温は25℃前後で、延隻数は144隻(前年88隻)、平均漁獲量は3.2トン/隻・日(前年同期4.8トン/隻・日)で、前年より延隻数多く、平均漁獲量は少なかった。鹿児島県枕崎における日最大風速10m/s以上の日数は、本年2月は10日、前年同月は8日で(気象庁)、本年と前年は時化が多かったと見られる。本年は漁場が前年よりも陸に近かったことが、延隻数が前年を上回った要因のひとつと考えられる。魚体は、前年の伊豆小笠原列島周辺漁場の漁獲物は小型が主体であったが、本年は特大が主体となっている。奄美大島東方海域の海面水温は平年より低めだが(参照:JAFIC EYE 248令和4年2月の海況について)、131°E付近を北上する暖水に続く反時計回りの渦が見られ、その周辺が漁場となった(図2)。

2.水揚量と価格

 1〜2月の全国の釣りによる生鮮カツオ水揚量は330トンで、前年(825トン)を下回り、過去5年で最も少なく低調なスタートとなった(図3)。漁場が奄美大島東方海域に形成された影響で、主な水揚げ港は鹿児島港で、2月は185トン水揚げされ、勝浦は5トンと少なかった(図1)。
 全国平均価格は361円/kgで前年より高かったが、過去5年平均価格までは回復しなかった(図4)。関東近郊のスーパー店頭では「鹿児島県産」の生鮮カツオが並び、大型のカツオ主体では大味かと思いきや、脂が乗っていて美味であった(写真1)。

3.今後の見通し

 奄美大島周辺から九州南部海域では、漁業者から夜光虫や流れ藻の目視の情報もあり、この海域の海洋環境は冬から春に移行しつつある。一方、四国以東沿岸の表面水温はまだ20℃に達しておらず、しばらくは今の海域で漁が続き、鹿児島港への水揚げが伸びそうだ。

   (水産情報部)
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