トピックス

トピックス一覧
最近の水産の話題はこれ! 随時更新
vol.1053

令和3年12月のスルメイカ漁況について

1.12月のスルメイカ漁について

1)全国の水揚げ動向
 JAFIC主要港における生鮮スルメイカの2021年12月の水揚量は210トンで、前月・前年同月の各1割程度と極めて低調であった(図1)。2021年の累計水揚量は1.5万トンで、2020年(3万トン)の半分であった(図2)。
2)各地の漁場形成の特徴
@日本海
 日本海で操業する中型いか釣り船(船凍)は、11月に引き続き、隠岐諸島北西(隠岐堆〜浜田沖)で操業した(図3の A)。12月上旬は、1日1隻当たり漁獲量が30〜100ケース(240〜800kg/日)と低調な漁況であったが、12月中旬には1日1隻当たり10ケース(80kg/日)前後とさらに減少した。燃油高騰のため赤字操業になることから、2月末までの漁期を残し、早くも今期の操業を切り上げる船が出始めた。一方、日本海の小型いか釣り船は、佐渡沖や能登半島、隠岐諸島周辺等で、低調ながら引き続き操業した。

A東シナ海
 対馬沖(図3のB)では、小型いか釣り船(生鮮)がスルメイカとケンサキイカを対象として操業した。12月中旬から中型いか釣り船(船凍)の一部が隠岐堆から対馬沖へ移動し、スルメイカ漁を行った。1日1隻当たりの漁獲量は50〜60ケース(400〜480kg/日)と隠岐諸島北(図3の A)よりはやや良かった。

B三陸
 三陸の小型いか釣り・沖合底曳網によるイカ漁は、11月後半にスルメイカ主体からヤリイカ主体の漁に切り替わった。石巻の沖合底曳網の1日当たりの合計漁獲量は、ヤリイカ15〜24トンに対し、スルメイカ0.5〜1トン、ジンドウイカ2トンであった。三陸主要港の12月のスルメイカの水揚量は87トンで、前月の13%、前年同月の7%(図4)、12月末までの累計水揚量は4.5千トンで、前年同期の3割、2014年の1割であった(図5)。

2.生鮮スルメイカの月別平均価格の推移

 2021年12月の生鮮スルメイカの月別平均価格は713円/kgで、水揚量が少なかったため、11月から1割上昇し、2018〜2020年12月同期の価格を上回った(図6)。

3.冷凍スルメイカの月別水揚げ状況

 主要港における冷凍スルメイカの2021年12月の水揚量は423トンで、前月の7割、前年同月の6割であった(図7)。12月は前月同様に時化休みが多く、水揚量は低調であった。12月末までの累計水揚量は5.6千トンで、2019年及び2020年同期を上回ったものの、2018年同期1.2万トンの5割であった(図8)。

4.冷凍スルメイカの月別平均価格の推移

 冷凍スルメイカの12月の月別平均価格(図9)は850円/kgで、11月の693円台から23%上昇した。漁期終盤で水揚量もこれ以上伸びないことから、価格は高騰した。

5.今後の動向等について

 日本海の中型いか釣り船(船凍)のスルメイカ漁場は、12月中旬には、山陰〜対馬沖へ南下した。今年1月に入ると、日本海から太平洋・三陸沖に回り、アカイカの試験操業を行った船があったが、1尾の漁獲で終漁した。現在、中型いか釣り船(船凍)の一部は八戸沖で、ヤリイカ主体にスルメイカ混じりの操業を行っている。今期の三陸のヤリイカ漁は、小型いか釣り・沖合底曳網とも好調な漁獲が続いている。三陸沖の冬季アカイカ漁は、2017〜2018年漁期は合計500〜600トンの漁獲があったが、2019〜2021年漁期は合計30〜80トンであった。今期も引き続き厳しい漁模様が予想される。

   (水産情報部)
  • ◇トピックス 全文◇
  • このページのトップへ