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vol.1051

令和3年12月の海況について

海面水温は、11月に引き続き太平洋・日本海ともに北部は近年より高め、南部は近年より低めの北高南低の傾向であった。

黒潮域

・12月も大蛇行は継続し、徐々に西進した。
・黒潮流路は、蛇行部が西進したため四国沖では離岸が進み(図1-@)、潮岬沖の29°N付近まで南下した後熊野灘に接近しながら大王埼付近に北上し、遠州灘沖で屈曲して御蔵島付近を通過した。
・黒潮流軸の海面水温は2℃前後降温し、九州東沖〜四国沖は22〜23℃、潮岬沖〜伊豆諸島は22℃、房総半島沖は20〜21℃であった。
・沖縄東沖〜本州南沖(図1-B)の海面水温は、寒気等の影響で11月に引き続き広範囲で近年よりやや低かった。
・遠州灘付近の海面水温は、黒潮流軸が接岸したため近年より1〜2℃高めであった。

親潮域・混合水域

・黒潮続流は常磐で接岸傾向になり、36〜37°N付近まで北上した。黒潮続流の北上部からの暖水波及(図1-E)は11月より東進した。
・三陸北部沖の暖水渦C(図1-C)は縮小してやや不明瞭になったが、ほぼ同じ位置に停滞した。
・黒潮続流北上部の暖水波及の東進(図1-E)と暖水渦Cの縮小により、三陸北部〜金華山付近(図1-D)にかけては親潮系冷水が南下し、近年より1〜2℃低めになった。
・釧路南東沖の暖水塊D(図1-D)は12月も北東方向に移動し続け、波及した暖水(図1-F)と一体化し、近年より4〜5℃高く、高温化が著しかった。
・釧路沖(図1-E)の海面水温は、12月下旬に寒気が強まった影響で近年よりやや低めになった。
・親潮面積は、12月も平年(1993〜2017年)よりは小さい状態が継続した。
・親潮第1分枝は11月並みの40〜41°N・144°30′N付近まで南下したが、第2分枝は40〜41°N・150°E付近まで後退した。

東シナ海

・海面水温が低めの海域は、上〜中旬は風が弱いため縮小したが、下旬は寒気の影響等で再び拡大した(図1-G)。

日本海

・上〜中旬は平年より寒気が弱く、期間を通して東朝鮮暖流の北上も強かったため、東朝鮮暖流域〜日本海北部(図1-J)の海面水温は11月に引き続き2〜4℃高めの状態が続いた。しかし、下旬以降は寒気が強まり、日本海北部では高めの海域は縮小した。
・対馬暖流は11月同様に隠岐諸島沖で南下し(図1-H)、大和堆付近を通過後、若狭湾沖で再び大きく南下(図1-I)した。このため、隠岐諸島沖(図1-H)や若狭湾沖(図1-I)の海面水温は近年より1〜2℃前後低めであった。
・対馬暖流は能登半島以北で大きく離岸したため、佐渡北沖の海面水温は近年よりやや低めになった。
・対馬暖流の勢力は、11月に引き続いて平年(1993〜2017年)より強めの状態が継続した。

各海域の12月〜1月上旬の海面水温の経過

・12月後半は、平年より風が強かったものの対馬暖流勢力がかなり強く、降温は近年並〜近年より弱かった。このため、大和堆海域(図2-@)では1℃程度高めであった。
・太平洋側も暖水の影響で近年より高めで推移した。道東沖海域(図2-B)は暖水渦D(図2-D)と暖水張り出しが結合して一時的に昇温し、近年より3〜4℃高めであった。
・1月上旬現在は、年末年始の強い冬型の影響で降温が進み、おおむね近年並である。

海面水温の現在と今後1カ月程度の推移

1)現在、降温の程度は大和堆・道東海域共に近年平均を上回っている。
2)現在、対馬暖流や暖水塊・暖水波及の勢力が強い。
3)季節予報では、向こう1カ月は北日本と山陰地方の気温は平年より低い可能性が高い。
以上から、気象の影響により降温は進むが、暖水勢力が強いため、降温は鈍化して近年より弱い低めとなる見込み。

その他

・常磐沿岸(図2-F)は、12月下旬に房総沖で黒潮続流と冷水渦が結合した影響で暖水が波及し、近年より2℃前後高めになった。
・過去の同様の冷水渦の結合の例(2021年8月)から、暖水波及は今度徐々に黒潮続流下流に移動して、1カ月程度で常磐沿岸の暖水波及は解消する見込み。

   (海洋事業部)
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