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vol.1040

令和3年11月の海況について

海面水温は、太平洋・日本海ともに北部は近年より高めの海域が多く、南部は近年並〜近年より低めの海域が多かった。

黒潮域

・大蛇行は11月も安定して継続した。
・黒潮流路は蛇行南下部が西編しており、その影響で四国沖で離岸が進んだ、(図1-@)。蛇行最南下部は29°Nに達し(図1A)、伊豆諸島のはるか西沖を北上して遠州灘〜熊野灘沖で緩やかに屈曲し、三宅島付近を通過した。
・黒潮流軸の海面水温は、25℃以上の海域が九州南沖まで後退し、九州東沖〜四国沖〜伊豆諸島〜房総半島沖までが24℃台に降温した。
・本州南沖〜東沖は、10月は台風などの影響で近年より低めであったが、11月も引き続き広範囲で1℃前後低めの状態が続いた。
・御前崎付近には屈曲部から暖水が波及し、海面水温は近年より1弱℃高めとなった。

親潮域・混合水域

・黒潮続流は房総半島に接岸後、37°N付近(図1-D)まで北上し、常磐沿岸には暖水が波及した(図1‐C)。
・三陸南部沖(図1-D)では黒潮続流からの暖水の張り出しがみられた。
・三陸北部沖の暖水渦C(図1-C)は渦構造が不明瞭になり、やや南下した。
・八戸近海(図1-E)では、津軽暖流の暖水渦が一時的に表れたが、11月下旬には渦構造は不明瞭になった。
・釧路南東沖の暖水塊D(図1-D)は北東方向に移動した。
・道東〜三陸北部沖(図1-E)の海面水温は親潮系水の影響で近年より1〜2℃低めであったが、常磐〜三陸沿岸や釧路南東沖は暖水波及や暖水渦の影響で最大で4℃前後近年より高めの状態が続いた。
・親潮面積は、11月も平年(1993〜2017年)より小さい状態が継続した。
・親潮第1分枝は40〜41°N・144°30′N付近(図1-E)まで南下したが、第2分枝は41〜42°N・149〜150°E付近(図1-F)に後退した。

東シナ海

・寒気の影響により、ほぼ全域で近年より海面水温が低めとなった。

日本海

・上旬は平年より寒気が弱く、期間を通して東朝鮮暖流の北上も強かったため、日本海北部〜朝鮮半島付近(図1-J)の海面水温は引き続き2〜4℃高めの状態が続いた。しかし、日本海南部では中旬以降に寒気の影響で高めの海域は縮小した。
・対馬暖流は10月同様に隠岐諸島沖で蛇行して(図1-H)、大和堆付近を通過後、若狭湾沖で再び大きく蛇行(図1-I)した。この影響で隠岐諸島沖(図1-H)や若狭湾沖(図1-I)には冷水が南下し、海面水温は近年より1℃前後低めであった。
・対馬暖流の勢力は10月に引き続いて平年(1993〜2017年)より強めの状態が継続した。

11月の海面水温の推移

・10月の降温の程度は大和堆海域では近年の平均を上回り、道東海域や三陸海域も近年並まで回復したが、道東沖合海域では降温の程度は弱かった(図3)。
・11月に入ると、大和堆海域を除き降温は鈍化し、道東・道東沖合海域・三陸沖合海域ともに中旬には近年より1〜2℃高めになった(図3)。
・下旬では、寒気等の気象の影響や親潮第1分枝の南下により、降温の程度は各海域ともに近年の平均を上回り、大和堆海域の海面水温は近年並になった。しかし、道東〜三陸沖は暖水渦(図2C、D)や暖水張り出し(図2E)の影響もあり近年並〜1℃弱高めであった。

大和堆海域の今後1カ月程度の海面水温の推移

1)降温の程度が近年並〜近年を上回っている。
2)季節予報では中国地方の気温は平年より高い確率がやや高い。
などに加え、現在の海面水温の状況から、近年並〜近年より1℃程度低めで推移する見込み。

道東・三陸海域の今後1カ月程度の海面水温の推移

1)降温の程度が近年並〜近年より弱め。
2)暖水塊や暖水の張り出しによる影響がある。
3)季節予報では、北日本の気温は平年より高めの確率が高い。
などに加え、現在の海面水温の状況から、近年並〜1℃前後高めで推移する見込み。

   (海洋事業部)
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