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vol.1038

11月の漁況・市況と12月の見通し

まいわし

 まいわしは、まき網では八戸沖、山陰沖等で漁獲された。道東沖ではまき網漁の終漁後もたもすくい網によるまいわしの漁獲がみられた。また、三陸では定置網による漁獲がみられた。
 11月上中旬の主要港における水揚量(以下「11月上中旬の水揚量」という。)は5千トンで、前月の1割弱にとどまったものの、前年同月の3.4倍であった。価格は52円/kgで、前月の41%高、前年同月の28%安であった。
 消費地(東京)におけるまいわしの入荷先は、北海道主体に宮城・愛知等からであった。11月上中旬の入荷量は前月から16%減少し、前年同月から15%減少した。価格は前月の4%安、前年同月の14%安であった。
 今後、三陸への南下が本格化することから産地の水揚量はやや増加すると予想されるものの、鮮魚での流通に向かない小型魚の割合が高く、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。

さば類

 さば類は、まき網では八戸・三沢沖、三陸〜常磐沖、三重〜和歌山沖、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)等で漁獲された。11月1日に八戸・三沢沖で1千300トンのまとまった漁獲がみられたものの、2週間で漁が途切れた。中旬になると、金華山〜福島沖まで一気に南下が進み、石巻ではまさば主体に1日あたり1千トンのまとまった水揚げが数日みられた。魚体は100〜1,200gの大中小型混じりであった。また、三陸沖では、定置網や沖合底曳網による漁獲が続いた。底曳網では10月はごまさばが7〜8割を占めていたものの、11月はまさば主体に入れかわり、魚体は100〜700gの大中小型混じりであった。伊豆諸島水域ではタモすくい網漁が引き続き行われ、ごまさばのみを漁獲した。なお、羅臼の定置網では、11月中旬以降まさばが大量に水揚げされており、11月27日現在の累計漁獲量は1千550トンで、前年同期の100倍を超えた。
 11月上中旬の水揚量は2万1千トンで、前月の2.1倍、前年同月から24%増加した。価格は121円/kgで、前月の12%高、前年同月の8%高であった。
 消費地(東京)におけるさばの入荷先は、まさばは北海道・青森・宮城等から、ごまさばは岩手・宮城・静岡等からであった。11月上中旬の入荷量は前月から21%増加し、前年同月並みであった。価格は前月の7%安、前年同月の19%高であった。
 今後も三陸〜常磐沖の漁獲が続くとみられ、東京への入荷量はやや増加し、卸売価格はやや弱含みで推移すると見込まれます。

するめいか

 小型いか釣り漁船によるするめいか漁は、日本海側では北海道北部〜山形〜新潟〜金沢〜山陰〜九州北部に、太平洋側では道東〜青森沖に漁場が形成されたものの、各地とも低調であった。稚内では小型いか釣りの操業が例年より大幅に遅れて10月末から始まり、11月中は数トン〜20トンの水揚げが散発的に続いた。また、羅臼では定置網でまとまった漁獲がみられ、多い日には90トン以上の水揚げがあった。三陸沖では引き続き底曳網による漁獲がみられ、例年の半分の漁獲水準にとどまったものの、他の地域より比較的好調であった。
 一方、中型いか釣船(船凍)による日本海のするめいか漁は、隠岐諸島北沖で操業し、八戸では1航海1隻あたり7千800ケース水揚げした。なお、11月は荒天・時化休漁の日が多く、操業できた日が少なかった模様である。
 11月上中旬の生鮮するめいかの水揚量は、1千500トンで前月から13%増加し、前年同月から45%減少した。価格は647円/kgで、前月の6%高、前年同月並みであった。
 消費地(東京)におけるするめいかの釣り物の入荷先は、北海道主体に青森・長崎等であった。11月上中旬の生鮮するめいかの入荷量は前月から61%減少し、前年同月から57%減少した。価格は前月の41%高、前年同月の42%高であった。
 漁期終盤であることから、今後、生鮮物の東京への入荷量は少なく・横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。冷凍物は、輸入物の搬入が安定していることから、東京への入荷量は横ばい、卸売価格は横ばいで推移すると見込まれます。

まあじ

 まあじは、まき網では犬吠埼沖、山陰沖、九州西沖(五島沖)等に漁場が形成された。また、三陸では定置網や底曳網で、北陸では定置網で漁獲された。山陰や東シナ海のまき網漁は、さばやぶりを漁獲する船が多く、11月のまあじの水揚げは各地とも低調であった。
 11月上中旬の水揚量は1千400トンで、前月、前年同月から43%減少した。価格は255円/kgで、前月の6%高、前年同月の6%高であった。
 消費地(東京)におけるまあじの入荷先は、中アジは長崎主体に石川・鳥取・佐賀等、中小アジは新潟主体に岩手・佐賀等、小・豆アジは岩手・石川主体に新潟・富山・三重等からであった。11月上中旬の入荷量は前月から9%減少し、前年同月から5%減少した。価格は前月の26%高、前年同月の31%高であった。
 今後もまき網ではさばやぶりの漁獲が多く、まあじの水揚げは低調な状態が続くと予想され、東京への入荷量は横ばい、卸売価格も横ばいで推移すると見込まれます。

かつお

 かつお一本釣り船の主漁場は、常磐沖や静岡沖、鹿児島沖等に形成された。かつお(中サイズ)主体で、1日1隻あたりの平均漁獲量は2〜4トンであった。漁期終盤のため群れが薄くなり、11月中旬に今期の三陸沖の水揚げが終漁した。
 11月上中旬の生鮮かつおの水揚量は790トンで、前月から65%減少し、前年同月から17%減少した。価格は453円/kgで、前月の50%高、前年同月の32%高であった。
 消費地(東京)におけるかつおの入荷は、宮城主体に千葉・高知・鹿児島等からであった。入荷量は前月から53%減少し、前年同月から7%増加した。価格は前月の29%高、前年同月の38%安であった。
 三陸沖のかつお一本釣り漁が終漁したことから、今後は、沿岸一本釣りや曳網、定置網等の漁獲のみとなる。東京への入荷量は減少し、卸売価格は強含みで推移すると見込まれます。

さんま

 さんま棒受網の主漁場は花咲沖200〜560海里付近の公海に形成され、11月中旬には三陸沖(岩手〜宮城)にも漁場が形成された。魚体は90〜140g主体で、大型魚の割合が多かった。11月上中旬には道東・三陸合計で1日あたり1千トンを超える水揚げが3日間みられたものの、過去と比較して極めて低い水準で推移した。
 11月上中旬のさんまの水揚量は6千800トンで、前月の2.1倍であったが、前年同月からは37%減少した。11月末までの累計水揚量(12月1日現在)は1万7千トンで前年(2万6千トン)を大きく下回った。価格は617円/kgで、前月の9%安、前年同月の42%高であった。
 消費地(東京)におけるさんまの入荷は、岩手・宮城主体に北海道からであった。入荷量は前月並み、前年同月から13%減少した。価格は前月の15%安、前年同月の22%高であった。
 極めて低調なまま漁期終盤を迎えており、今後は例年通り12月中旬頃には今期の操業が終了すると見込まれる。東京への入荷量は減少し、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれます。

   (水産情報部)
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