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vol.1026

10月の漁況・市況と11月の見通し

まいわし

 まいわしは、まき網では道東沖や山陰沖、九州北部等で漁獲された。道東沖では、1日あたり1千〜5千トンの安定した漁獲が続き、釧路・広尾を中心に石巻等に水揚げされた。魚体は50〜80g主体で90〜100gもわずかに混じった。道東沖のまき網漁の操業は、例年通り10月末で終漁した。また、道東沖ではさけます流し網漁業代替のまいわし棒受網漁が行われた。定置網では引き続き三陸沿岸で漁獲が見られた。
 10月上中旬の主要港における水揚量(以下「10月上中旬の水揚量」という。)は6万1千トンで、前月の1.4倍、前年同月から18%減少した。価格は34円/kgで、前月の6%高、前年同月並みであった。
 消費地(東京)におけるまいわしの入荷先は、北海道主体に青森・宮城・愛知等からであった。10月上中旬の入荷量は前月並み、前年同月から33%減少した。価格は前月の5%安、前年同月の14%高であった。
 道東沖のまき網漁が10月末で終漁したことから、当面産地の水揚量は減少する。今後、東京への入荷量は減少し、卸売価格はやや強含みで推移すると見込まれる。

さば類

 さば類は、まき網では八戸・三沢沖、犬吠埼沖、三重〜和歌山沖、山陰沖、九州対馬沖・西沖(五島沖)等で漁獲された。八戸・三沢沖では、まさば8割・ごまさば2割の漁獲で、1日あたり200〜700トンの水揚げに上向いた。魚体は100〜300g主体で、500g以上の大型魚も混じった。三陸沖では、定置網や沖合底曳網による漁獲が続いた。底曳網では、群れによりごまさばの割合が高く、ごまさば7割・まさば3割であった。ごまさばは500g前後の大型魚が全体の1〜2割で、まさばは100g前後の小型魚主体であった。また、伊豆諸島水域のタモすくい網漁はごまさばのみを漁獲した。
 10月上中旬の水揚量は1万トンで、前月から79%増加し、前年同月から89%増加した。価格は108円/kgで、前月並み、前年同月の8%安であった。
 消費地(東京)におけるさば類の入荷先は、まさばは青森・宮城・千葉等から、ごまさばは青森・宮城・静岡等からであった。10月上中旬の入荷量は前月から21%増加し、前年同月から22%減少した。価格は前月の8%高、前年同月の32%高であった。
 今後、水温の低下により三陸沖の漁獲が徐々に上向くと予想され、東京への入荷量はやや増加し、卸売価格はやや弱含みで推移すると見込まれる。

するめいか

 小型いか釣り漁船によるするめいか漁は、日本海側では北海道北〜山形〜新潟〜金沢〜山陰〜九州北部に、太平洋側では道東〜青森沖に漁場が形成されたものの、各地低調であった。9月に好調だった青森の太平洋側の昼いか釣漁は、漁期終盤になり、10月中旬以降まとまった漁獲は見られなかった。三陸では引き続き沖合底曳網による漁獲が見られた。また、三陸や羅臼では引き続き定置網による漁獲が見られた。一方、中型いか釣り船(船凍)による日本海のするめいか漁は、10月上旬は引き続き大和堆で操業した。中旬には南下が進み、漁場は隠岐諸島西側に移ったが、値段の出ない産卵後の痩せたいか(皮いか)が多く混じったこともあり、下旬は大和堆〜隠岐諸島北沖に戻って操業した。
 10月上中旬の生鮮するめいかの水揚量は、1千200トンで前月から37%減少し、前年同月から67%減少した。価格は585円/kgで、前月の10%安、前年同月並みであった。
 消費地(東京)におけるするめいかの釣り物の入荷先は、長崎主体に北海道・石川・山口等からみられた。10月上中旬の生鮮するめいかの入荷量は前月の2倍、前年同月並みであった。価格は前月の12%安、前年同月の7%高であった。
 今後も全国的に漁獲は低調な状態が続くと予想され、生鮮物の東京への入荷量は横ばい、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれる。冷凍物は、中型いか釣船の水揚げが8〜9月が好調だったことや輸入物が増加したことから、東京への入荷量は生鮮物が少ない分増加するものの、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれる。

まあじ

 まあじは、まき網では犬吠埼沖、山陰沖、九州西沖(五島沖)等に漁場が形成された。また、三陸では定置網、底曳網で漁獲された。
 10月上中旬の水揚量は2千400トンで、前月から17%増加し、前年同月から17%増加した。価格は239円/kgで、前月の12%安、前年同月の16%安であった。
 消費地(東京)におけるまあじの入荷先は、中アジは長崎主体に鳥取・島根・佐賀等、中小アジは長崎主体に新潟・佐賀等、小・豆アジは岩手主体に新潟・石川・富山・三重等からであった。10月上中旬の入荷量は前月から12%増加し、前年同月から13%増加した。価格は前月の4%安、前年同月の12%安であった。
 今後、東シナ海・三陸では徐々にさば漁に切り替わると予想され、東京への入荷量はやや減少し、卸売価格はやや強含みで推移すると見込まれる。

かつお

 かつお一本釣り船の主漁場は、10月上旬は青森〜宮城沖、中旬は南下し常磐〜房総沿岸にも形成され、中旬〜下旬は静岡沿岸でも操業した。かつお(中〜大サイズ)主体で、1日1隻あたりの平均漁獲量は2.5〜5トンであった。気仙沼では9月は1日あたり100〜400トンの水揚げがあったものの、10月は30〜140トン程まで減少した。一方、かつお・まぐろまき網漁は、宮城〜茨城沖で操業し、かつお、きはだ、くろまぐろ等の漁獲が見られたが、漁獲対象をいわし、さばに切り替えた船が目立った。また、三陸では定置網でもかつおの入網が続いた。
 10月上中旬の生鮮かつおの水揚量は2千200トンで、前月から64%減少し、前年同月から4%増加した。価格は298円/kgで、前月の56%高、前年同月並みであった。
 消費地(東京)におけるかつおの入荷は、宮城主体に千葉・長崎等からであった。入荷量は前月から24%減少し、前年同月から31%増加した。価格は前月の71%高、前年同月の18%安であった。
 今後、水揚げの主力である三陸沖のかつお一本釣り漁は11月中旬頃に終漁すると見込まれることから、東京への入荷量はさらに減少し、卸売価格はやや強含みで推移すると見込まれる。

さんま

 さんま棒受網の主漁場は花咲沖200〜500海里付近の公海に形成された。9月下旬は、道東・三陸合計で1日あたり500〜700トンの水揚げがあったものの、10月は上旬の台風通過以降1日あたりの水揚量が500トンを上回ることはなかった。魚体は、上旬は100〜120g主体、中旬は110〜130g主体で140g以上も混じった。
 10月上中旬のさんまの水揚量は3千247トンで、前月の2.4倍、前年同月から43%減少した。10月末までの累計水揚量(11/4現在)は9千183トンで前年(1万2千トン)を下回った。価格は680円/kgで、前月の10%安、前年同月の13%高であった。
 消費地(東京)におけるさんまの入荷は、北海道主体に岩手、宮城からであった。入荷量は前月の2.1倍、前年同月から6%減少した。価格は前月並み、前年同月並みであった。
 近年は11月に漁獲量が増加しているため、今後、低調ながらも産地の水揚量は増加すると予想され、東京への入荷量はやや増加するものの、卸売価格は高値・横ばいで推移すると見込まれる。

   (水産情報部)
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