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vol.1021

9月におけるサンマの漁況経過

1. 2021年9月の漁況の経過

 今年9月のサンマ棒受網による生鮮サンマ水揚量は4,500.6トンで、前年(955.8トン)の4.7倍であった(表1)。前年は記録的な不漁であり9月の水揚量が1971年以降で最低、前々年(2,920.3トン)は過去2番目に水揚量が少なかった。今年は前年、前々年を上回ったものの、過去3番目に水揚量が少なかった。生鮮サンマの平均価格は605円/kgで前年の51%であった。
 9月上旬の主漁場は、前年同期よりも西側の花咲東南東460~720海里(漁場水温16~18℃)であった(図1、2)。1日1隻当たり最高漁獲量は10トンと少なかった。漁場は遠く、小型船の多くは出漁できなかった。漁獲物は、体重90~120gモードで痩せていた。
 9月中旬の主漁場は、前年同期同様、沖合の公海で、花咲東南東580~620海里(漁場水温16~18℃)であった(図3、4)。1日1隻当たり最高漁獲量は、14.5トンであり、9月上旬よりも多くなったものの、極めて低調であった。漁獲物は、体重100~120gモードであった。  9月下旬の主漁場は、花咲東南東240~360海里(漁場水温14~18℃)であった。また、花咲港から1日半程度かかる花咲東北東沖(漁場水温16~17℃台)、花咲東南東沖470~580海里(漁場水温16~17℃台)、花咲東沖530~580海里(漁場水温16℃台)にも一時的に漁場が形成された(図5、6)。このように、9月中旬および前年同期よりも漁場は西側にも形成された。1日1隻当たり最高漁獲量は42トンであり、9月中旬および前年よりも多くなった。漁獲物は、体重100~120gモードであった。
 なお、花咲東南東沖300海里付近では、9月21日夜に千葉県水産総合研究センターの千葉丸がやや型の良いサンマを漁獲し、この場所で9月23日夜に操業した大型船の漁獲物には他の漁場よりもやや太った個体も混じり、体重150g以上の個体もみられたた。これらのことから、この頃に本格的な南下群が出現したと考えられたが、前年(9月29日頃)よりも早かった。

2. 2020年9月と2021年9月の漁獲物の比較

 今年の9月の漁獲物は、体長29~30cm、体重100~120gモードであった(図7)。前年の同期の漁獲物は体長29cm、体重110~120gモードであり(図8)、今年は、体長組成・体重組成ともにほぼ前年と同じであった。9月12日夜における漁獲物について、体長と体重の関係を比較すると、今年は前年に比べて体重が10g程度軽く、今年の方が若干痩せていた(図9)。

3. 現状分析と今後の見通し

 今年9月の主漁場における漁場水温は、16~18℃台であり、8月に引き続き水温が高い所でサンマを漁獲していた。前年もほぼ同様の傾向であり、この水温が高い所にいるサンマは、前述のように今年の方が若干痩せていた。これらのサンマはすぐに南下するものではないため、漁獲がまとまらなかったと考えられる。
 一方、9月21日夜に花咲東南東沖300海里付近でやや太った南下群が出現した。南下群の出現時期は、前年よりも約8日早かった。南下群が出現したため、9月下旬に少ないながらも漁獲は増加したと考えられる。
 10月に入り、順調に漁獲量が増加するかと思われたが、10月上旬の台風通過後、想定したような降温が進まず漁獲量が伸び悩んでいる。本来、今年の資源量が少ないことを反映した状況であるが、漁獲量が少ないながらも、南下群と思われる体重140g以上のサンマの割合は10月に入り増えてきている。近年、10月中旬~11月に漁獲量が増加していることから、南下群の出現とともに今後漁獲量が増えると思われる。

   (水産情報部)
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