トピックス

トピックス一覧
最近の水産の話題はこれ! 随時更新
vol.1019

9月のマイワシ・さば類・マアジの漁況について

1. 太平洋側のマイワシについて

〇道東まき網: 9月は8月下旬から好調な漁模様が継続し、1日2,000〜3,000トン前後を水揚げした。しかし群は薄く、1網当たり漁獲量は平均107トンであった。漁場は釧路〜花咲沖に形成され、下旬には十勝沖にも形成された。水揚物は体長15.5〜16.5cm、体重45〜55g主体(2〜3歳魚)で、90g以上の混じりは少なかった。9月の釧路港への水揚量は8月及び前年を上回り、価格は7月及び前年を下回った(表1)。

〇道東沖棒受網: 花咲港への9月の水揚量は8月及び前年を下回った(表2)。1日当たり水揚量は9月上旬には100トン前後であったが、中下旬には10〜20トンに減少した。水揚物は体長16〜17cm、体重50〜60g主体(2〜3歳魚)であった(図1、2)。90g前後のサイズは5〜10%混じった。このサイズの混じりは8月より割合が増えた。

2. 日本海側のマイワシについて

〇境港: 9月の水揚量は8月及び前年を上回った(表3)。水揚物の主体は体長10〜12cm、体重10gにモードを持つ0歳魚であった(図3、4)。0歳魚の水揚は7月下旬に始まり、8〜10月も継続しており、加工原料や養殖餌向けに出荷されている。

3. 太平洋側のマサバについて

〇八戸港: 9月は北部まき網による操業が行われたものの、水揚量は8月及び前年を下回った(表4)。水揚物は日によって300g台(3歳魚)や50g台(0歳魚)と大きく変化した。三陸北部に暖水塊が停滞し、八戸沖は水温が高めの傾向にあったため、9月には、水揚物は沿岸を北上し、八戸沖に停滞した群が対象になったと考えられる。

4. 日本海および東シナ海側のマサバについて

〇松浦港: 9月は九州西沖海域主体に操業が行われ、水揚量は8月を下回ったものの、前年を上回った(表5)。松浦港のマサバ水揚量は7、8月とも前年を上回り、比較的好調な漁況が続いている。1隻当たり水揚量も過去5年平均を上回り、秋以降も九州西沖主体に好調な水揚げが期待される。遠洋旋網所属船による長崎港水揚分は、体長(尾叉長)26〜28cm前後、体重260〜300g前後の1歳魚が主体であった(図5、6)。

5. 日本海および東シナ海側のマアジについて

〇境港: 9月の水揚量は8月及び前年を上回った(表6)。9月は隠岐海峡周辺でもマアジが漁獲され、境港へ水揚げされた。浜田〜山口県沖で、中小型まき網により引き続き操業が行われたが、8月と比較すると水揚量が減少した。漁獲物は、体長(尾叉長)22〜23cm前後、体重160g前後の1歳魚で(図7、8)、鮮魚向けに出荷され、価格は8月を上回った。

〇松浦港: 遠洋旋網主体の水揚げがあったが、9月の水揚量は8月及び前年を下回った(表7)。漁場は主に九州西沖海域であった。遠洋旋網所属船による長崎港水揚分は体長22cm、体重140g主体の1歳魚であり(図9、10)、26〜28cm(2歳魚)も水揚げされた。隠岐海峡周辺で漁獲された境港水揚物と同様のサイズであった。

6. まとめ

 9月の太平洋側のマイワシの水揚量は、道東海域のまき網主体に棒受網による水揚げもあった。釧路沖の暖水塊が前年よりも沖合に停滞し、親潮第1分枝の南下の影響により道東沖は全体的に降温した。北方四島水域から道東海域への南下群が増えたが、全体的に降温したことにより、道東海域における魚群分布に影響を及ぼし、まき網や棒受網の漁況の変化をもたらしたと考えられる。
 日本海側のマイワシについては、隠岐海峡周辺での0歳魚対象の操業が続いた。山陰まき網では隠岐海峡周辺で操業する中型まき網によるマイワシの水揚げが続いた。10月以降も水揚げが続いており、前年を上回る水準で推移している。
 太平洋側のさば類については八戸沖で一艘まき網による操業が続いた。水揚物は日によって300g台や50g台と変化したが、いまだ南下群の主体ではないと考えられる。三陸北部に暖水塊が停滞していることから、今年も南下群の三陸への来遊は11月下旬になると考えられる。
 東シナ海のマサバについては、九州西沖海域を中心に1歳魚主体の漁獲があった。10月以降もこの傾向が続くと考えられる。
 マアジについては、日本海側では9月から隠岐海峡周辺で中型まき網による操業があり、浜田〜山口県沖でも中心に大中型まき網による操業がおこなわれた。東シナ海では九州西沖海域主体の操業であった。水揚物は鮮魚として出荷される体長22cm(1歳魚)主体に20cm未満(0歳魚)や25〜27cm(2歳魚)も混じった。10月も1歳魚主体の操業が続くと考えられる。

   (水産情報部)
  • ◇トピックス 全文◇
  • このページのトップへ