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vol.1000

7月の近海カツオ竿釣り漁場と生鮮カツオ・生鮮ビンナガの水揚状況について

1.近海竿釣り船の漁場と魚体組成

 7月の近海竿釣り漁は好天が続いて延操業隻数も多く、全体的に好調であった。主漁場は房総沖の黒潮続流南側から東北沖で、最も北では青森沖で操業された(図1b)。漁場の平均位置は前年(図1a)より北寄りで、前年より北上が早かった。旬別にみると、上旬は黒潮続流より南側の広い範囲で操業され、中旬は海面水温23℃程度の水温帯とともに宮城県沖まで北上した(図2a, b)。下旬には主要水揚港である気仙沼の近くで好漁場が形成されたためか、黒潮続流より南での操業は減少し、気仙沼に近い比較的沿岸に操業が集中した(図2c)。魚体は6月に引き続き小〜中が主体で、気仙沼に水揚されたカツオの体長(尾叉長)組成も45~50cmが主体であった(図3)。

2.水揚量と価格

【カツオ】
 全国の7月の釣りによる生鮮カツオ水揚量は9,938トンで前月より増加し、前年の倍以上で、2016年以降で最も多く(図4a)、7月までの累計水揚量も2016年以降で最も多かった。まき網による生鮮カツオ水揚量は3,983トンで、前月より減少したが前年及び過去5年平均を上回った(図5)。主要水揚港は気仙沼で、竿釣りとまき網を合わせて水揚量が1000トンを超える日もあった。生鮮カツオの全国平均価格は、釣りが172円/kg、まき網が190円/kgで前月からほぼ変わらず低迷が続いている(図5)。

【ビンナガ】
 全国の7月の生鮮ビンナガ水揚量は0.7トンで前月から大幅に減少した(水揚量は釣・延縄など全漁法の合計)。7月までの累積水揚量は18,360トンで、前年の半分程度となり、過去5年平均(24,000トン)を下回ったものの、2019年よりは多かった(図4)。

3.今後の見通し

 8月中旬現在、台風の影響で東北沖でも海面水温の低下がみられるが、151°E周辺の海面水温23℃前後の海域では「小」〜「中」主体に1操業当たり10トン以上漁獲する船もあり、水温低下による直接的な影響はみられていないが、今後の状況を注視したい。今年はこれまで好漁が続いており、気仙沼への水揚げも順調である。7月に水揚げの主体となった体長45~50cmのカツオは、秋に「戻りガツオ」となる群れと考えられる。このため、秋には美味しいカツオが堪能できそうだ。

   (水産情報部)
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