2003年の主要水産物の需要と供給

                                              単位:数量,1000トン、価格,円/kg

  数  量

  本年の産地水揚量(統計情報部集計による全国202産地漁港)は、久しぶりに減少から増加に転じ295万トンで前年をやや上回った。

  全体的な特徴としては浮魚青物類の減少、マグロ類の増加が顕著であった。

  大きく増加した魚種は、生鮮カツオ、サケ類、片口イワシ、マアジ、サンマ等であり、大きく減少した魚種は生本マグロ、生・冷ビンナガ、ムロアジ、生鮮スルメイカであった。

  輸入は、333万トンと各国との競合の中で買い負けもあって前年を下回った。

  この中で目立って増加した魚種は、活ウナギ、サンマ、クロマグロ等であり、総じて減少している魚種が多いのが特徴である。特に減少魚種で目立ったものは、すり身、アジ、サバ、サケマス類、メロ、タコ等でミールも大きく減少した。円高にも拘らず、海外での力関係にも微妙な変化が出てきている。

輸出は、約37万トンで前年(30.7万トン)をかなり上回った。

  本年は、国内漁が好漁であったカツオ、アキサケの2魚種で増加分の大半を占めており,イカは引続き減少傾向にある。

  消費地入荷量(10大都市)は、203万トンで前年(209万トン)をやや下回り近年の減少傾向は今年も続いた。

 目立って多くなった魚種は、生鮮ではクロマグロ、カツオ、サンマ、マダイで、冷凍ではビンナガ、サバ類、鯨、大きく減少した魚種は、生鮮ではマイワシ、サバ類、コウイカ類、シジミで、冷凍ではキハダ、ニシン、タラ、スルメイカ、タコ類であった。本年は冷凍品の減少が際立っており、貝類、海藻類の増加が顕著、これは健康志向の表れであり、生鮮物、塩干品、は総じて横ばいであった。

  在庫量は、月平均128万トンで前年(128万トン)並みであった。これは、国内生産量、輸入量の減少や輸出の増加で供給は増加したものの末端消費の低迷を反映したものである。

 

 価格・金額

  15年の産地価格は、180円で引続き前年(218円)を下回った。マアジ、カタクチイワシ、サンマ、サバ類等の多獲性大衆魚種の安値傾向が反映したことによるものである。

 目立って高かったのが漁不振のクロマグロ、冷凍ビンナガ、冷凍アカイカ類が漁不振の影響を受けた魚種も多かった。またマグロ類では生・冷ともキハダが総じて軟調市況であった。

  消費地価格(10大都市)は、763円で前年(796円)をやや下回った。

  目立って高くなった魚種は、生鮮ではシジミくらいで、冷凍では国内搬入の遅れ等も見られたサケマス類やニシン、カレイ類などであった。

逆に生鮮のマグロ類や総じて弱かったほか、その他の魚種も概ね横ばいからやや弱い傾向が顕著であった。

 輸入金額は、1兆5690億円(前年:1兆7621億円)で前年を1931億円下回り、1980年代後半の水準まで落ちている。

 輸出金額は、1356億円で前年(1367億円)を若干下回ったが、量的にはかなり伸びており、今後海外への指向は強くなるものとみられる。

 

円 レ ー 

  15年の円レート(対USドル)は、年平均116円で前年(126円)より5円の円高となった。

  円レートは、85年の9月のプラザ合意以降一時的な円安がみられたものの急速な円高・ドル安傾向が10年間続いた。

  しかし、95年秋から円安に転じ、97年以降に証券会社、銀行の倒産が続き金融システム不安等も重なり一層円安が進行し、98年も一時140円台の安値を記録するなど秋口まで円安が進行した。その後、一時年末にかけて円高(113円)へと反騰したが、99年は夏場までやや円安(114〜121円)で推移したが、下半期には急激に円高に反騰し、12月は103円まで急騰した。2000年は年末の円高の103円からスタートで、一時的な円高はあったが、基本的には円安傾向で推移し、年末には111円まで下げた。01年は長引く不況や銀行、ゼネコン、流通分野での倒産、再編もあり、年を跨いで急激な円安が進行し、9、10月に119円とやや円高に戻したものの12月には124円と円安に急落した。02年には131円の円安から始まってその後円高に転じ、8月に118円まで上昇したが、一向に景況感の低迷もあり12月には122円まで下げた。その結果、為替は10年前の水準まで戻した。03年は年初の119円から始まり9月までは2円前後の幅での小さな動きであったが、10月に111円と急騰し、11,12月と小幅円高で推移し108円まで上げた。

 (参考:84年237円→85年240円→86年170円→87年146円→88年128円→89年137円→90年145円→91年135円→92年127円→93年112円→94年102円→95年94円→96年108円→97年121円→98年131円→99年114円→2000年107円→2001年121円→2002年126円→2003年116円)

 

 石 油 価 格(1kl当たり)

  15年のA重油価格は、年初は前年末からの30,500円から始まり、3月上旬には31,500円に上げ、その後続投し33,500円が5月上旬まで続いた。中旬に若干反落し33,000円、31,000、下旬には、29,500円、6月上旬29,000円、中旬28,000円と続落し中旬に27,000円が10月上旬まで続いた。その後、中旬に28,500円まで上げ、10月下旬に29,000円、11月上旬30,000円まで上昇し年末まで続いた。本年は前年に比べ高水準の推移であった。

  参考:近年の最高値74,000円/kl(1982年11月)