03年サバ類
単位:数量,1000トン、価格,円/kg
漁獲と資源
15年のサバ類(マサバとゴマサバ)の漁獲量は、34万トン強で前年(28万トン)をやや上回ったものの、近年の平均(50万トン)を依然下回る低水準の漁獲であった。
これは、東シナ海での漁獲が前年をやや下回ったが、他の海域では概ね前年並みかやや上回る漁獲であったことによるものである。
日本のサバ類漁獲量の増減は、日本近海でのサバ類資源の減少傾向が顕著になっていることもあり、各海域での漁獲動向の振幅が漁獲量に大きな影響を与えるようになってきている。本年は、各海域とも極端な増減がなく比較的低位で安定していたため、大きな増減はなかった。
マサバ太平洋系群の資源は依然低水準であるといわれている。特に1996年に卓越年級群が発生したものの、0,1歳魚の多獲により産卵親魚は回復しなかった。そして2002年の産卵親魚も過去30年で最低の水準であるが、その年の加入量は比較的多かった。
また、対馬暖流系群の資源は、90年代に入って増加したが、97年以降加入量は減少し2002年には更に低い値が出ている。また、97年以降は96年を頂点に産卵親魚も減少している。
何れにしても両系群とも資源水準は低位であり、しかも減少傾向にある。
近年安定している太平洋系群のゴマサバの資源は1996年が卓越年級群で最も大きかったがそれ以降やや減少している。しかし加入量も多く資源は安定しており中位横ばいの水準であり、増加の方向にある。また東シナ海系群のゴマサバの資源は、近年比較的安定しており、中位の水準で横ばい傾向にある。
産地水揚量と価格(継続漁港)
15年の産地水揚量は、24.9万トンで北部太平洋海域での漁獲減少を反映し前年(22.7万トン)をやや上回った。
価格は、79円で前年(105円)をかなり下回った。
これは、依然続く漁獲の増加、魚体も東シナ海でのローソクサバの増加、全国的にゴマサバの増加が影響したものである。
海域別漁獲量
本年の海域別漁獲量の特徴は、下表の通り低位ながらも三陸、常磐での増加が際だっており、近年の主力である東シナ海では若干減少、山陰では低水準で横ばいであった。
二年連続で増加しやや回復に向かっていた東シナ海での漁獲量が再度減少したこと、逆に、北部太平洋海域では三陸・常磐ともかなり前年並みとなり、東海海域ではゴマサバ主体に漁獲が増加した。
海域別漁獲量
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三 陸
本年の三陸の漁は、北上期は若干の漁獲、南下期は前年を上回る漁であった。7月に定置網に入網がみられ始め、8月上旬にまき網によるジャミ々サバの初漁があり、その後散発的に漁獲が続き、9月に入って三陸沿岸でもややまとまり9月後半から10月上旬にかけて最も好漁がみられた。本年は7月中旬からスルメイカの漁獲が始まり9月下旬まで続いた。
魚体は漁期全般を通じて0、1歳魚(2002年級群)であったが一時的に2歳魚(30cm)の漁獲もあった。
また、本年のブリ(イナダ、ワカシ)の漁獲が10,11月にまとまってみられたが、漁獲は悪かった前年の1/2程度に終わり2年続きの不漁となった。
常 磐
本年は昨年とは中がって越冬サバの時期に低調で昨年を大きく下回った、結局越冬寒サバは5.1千トンで前年(16.2千トン)を大幅に下回った。
しかし、春(5〜7月期)の漁獲は5.8千トンで極めて悪かった前年(皆無)を大幅に上回ったが南下群の漁獲は24.7千トンで前年(29千トン)をやや下回り、年間を通じても前年を下回った。なお、本年も11月以降にブリ類(イナダ)の集中した漁場形成もみられたが、近年では極めて好調であった昨年を大幅に下回り、北部太平洋海域では全般的に不振であった。
魚体は、越冬期、北上期には1歳魚(2002級群)、南下期には当歳魚が殆どであったが中には2歳魚の混獲もあった。
北部太平洋海域では、本年もゴマサバの混獲が多かった。
東 海
伊豆諸島周辺を主漁場として、主に産卵群を対象とするサバタモ抄い漁業は、54年の17.7万トンをピークに減少しており、近年は1万トン以下の低調な漁獲が続き、操業隻数も往時に比べ大幅に減少している。
15年の漁獲量は、マサバが45トンで悪かった前年(皆無)をやや上回り、ゴマサバが5,025トン(前年6,024トン)でマサバが僅かながら増加、ゴマサバが減少した。
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東 シ ナ 海
15年の漁況は、年明け後の冬漁は前年来の「好漁」を持続し前年並みの水揚げとなった。また夏場の漁は例年通り夏枯れを呈し昨年同様低調であった。その後の秋漁は昨年同様9月以降まとまり始めたが、冬場の盛漁期は昨年ほどの勢いはなく山場に欠け水揚げは前年をやや下回った。したがって年間の水揚量も前年を下回る低水準であった。
魚体は、本年も概ね300g以下のギリ、ローソクサバ(0、1歳魚)が漁獲の主体で約69%であったが、前年 (62%前後)より多かった。
山 陰
この海域では、前年より春漁がやや好漁と秋漁がやや低調であった。
本年の漁況の経過は、年明け後の漁は前年秋冬を引継ぐ格好でやや好調に推移したが、その後の梅雨前の春漁は昨年同様低調でほぼ皆無であった。夏場以降下半期の漁は、昨年をやや下回って推移した。
魚体は、上半期は2002年級群主体に、後半には2003年級群が主体であった。
輸 入 本年の輸入量は、12.9万トンで、前年(14.9万トン)を下回った。これは主にノルウェー現地の漁獲枠減少を反映したものであり、所謂シーズン物の2万トン程度の減少を反映したものである。本年の搬入のピークは11、12月にあり、前年よりやや遅くなっている。 主要な輸入国は前年同様本年もノルウェーが81%と2年続けてシェアを落としている。しかし、ほぼ一極集中化して現実に変化はない。また、それ以外ではアイルランド引続き増加しており6500トン(前年4300トン強)、イギリスからは5933トン(前年3300トン強)、デンマークからは1818トン(前年2300トン強)、その他には後半にカナダ、韓国、中国からも輸入がみられており、特にカナダ、中国等が伸びてきている。 本年のノルウェーからの輸入原料は600サイズ以下が63%(前年: 66%)主体に600UPが37%(前年:34%)で、600UPが引続き前年より増加、4-6サイズの減少となっている。また従来からの日本向けの4-6サイズはまだ日本の買値が高いが、600gUPについては、ロシアを始めとした東欧諸国とほぼ拮抗してきている。 価格は、156円で前年(176円)を下回ったが、ノルウェー現地市況の下落を反映したものである。 近年、中国、タイ等海外加工が依然活発にみられ、製品輸入も多くなっており、本年も6千トン強で年々増加傾向がみられている。 輸 出 本年の輸出量は、6.5千トンで前年(4.3千トン)を大幅に上回った。また、缶詰輸出は5.3千トンと低水準ながらも前年(4.6千トン)を引続きやや上回った。
在 庫 量 在庫量は、8.6万トンと前年(7.8万トン)をやや上回った。 これは、輸入量の減少を国内生産量がカバーしたことと、型が小さく、冷凍され養魚用餌料に向けられた結果である。 消費地入荷量と価格 15年の消費地入荷量(10大都市)は、産地での漁獲が増加した割には型が小さかったことを反映し、生鮮4.7万トンと前年(5.4万トン)を下回った。 |
また、冷凍は1.9万トン(前年1.7万トン)、塩干4.5千トン(前年4.9千トン)、塩蔵1.3万トン(前年1.3万トン)と何れも大きな増減はなく横ばい傾向であった。 価格は、生鮮343円(前年335円)、冷凍313円(前年319円)、塩干487円(前年423円)、塩蔵469円(前年479円)であった。 価格は、輸入原魚価格が下落した塩蔵(塩フィレー切り身や丸で利用)と冷凍物(総菜物原料)が下げたが、生鮮、塩干が上昇し、特に塩干が目立った。 また、本年も消費地市場、末端のスーパー・量販店では、国内漁況を反映し、ゴマサバのフィレーや切り身の販売が依然多かった。 |