03年 マイワシ
単位:数量,1,000トン、価格,円/kg
漁獲量と資源
15年のマイワシの漁獲量は、5.8万トンと前年の5万トンをやや上回った。予想され、近年では最低の水準であり、1970年代初頭の5万トン台の低水準であった時代の数量と推定される。
道東漁場では、引続きマイワシの漁獲は皆無でカタクチイワシ主体(約4.4万トン)の漁獲であった。北部太平洋海域では三陸、常磐とも北上期の夏〜秋にかけてややまとまった漁獲をみた程度で悪かった前年に比べ三陸が更に悪く、常磐で前年並みであった。また、一昨年漁獲の急減をみた山陰では、本年も漁獲がほぼ皆無であった。
太平洋系群のマイワシ資源はS50年代以降、資源の増大期に入り、1972年卓越年級群発生を契機として、1980年の大卓越年級群を中心に、1987年のピーク時までその後の卓越年級群の発生により高水準の漁獲を保証してきた。しかし、1988年頃から漁獲は減少に転じ始め、1990年代は各年級群の加入量も少なくなり、その資源量水準は急減した。
近年では95年からは低位安定していたが、2000年から再度減少傾向がみられており、現在に至っている。
対馬暖流系群も1989年以降の資源量は急減していて、その後も減少傾向が続き、1997年以降は極端に減少し、2002年級群の資源量は過去最低となっている。
産地水揚量と価格
15年の水揚量は、3.7万トンで前年(3.3万トン)をやや上回った。価格は、168円で前年(180円)をやや下回った。
本年は、北部太平洋海域の三陸・常磐で7〜9月にかけてややまとまった漁獲がみられたのみで、前年同様凶漁に終わった。
市況は168円で前年(180円)をやや下回ったものの前年同様極めて高水準であった。
なお、本年のミール相場は、年明けの10万円から始まり、この市況が年末まで続いた。したがって本年は周年を通じて堅調相場を保ったことになる。
三 陸
15年の三陸での漁況は、初漁期(北上期)の4、5月は昨年以上に低調でほぼ皆無に近く、夏場の盛漁期には9月にややまとまった漁獲があったのみであった。
秋から冬場の南下期は悪かった昨年以上の低調さで、9月に僅かにまとまったのみであった。 魚体は、周年を通じて2002年級群主体に漁獲された。 常 磐 15年の常磐での漁況は、初漁期は皆無、その後の北上期も低調8月にややまとまり昨年を上回ったのみであった。また、後半の南下期にも昨年をやや上回る漁獲があったものの低水準の中での漁獲であった。今年も南下期後半に当歳魚の漁獲もなく、極めて低調に推移した。 魚体は、初漁期から夏場の北上期、そして漁期後半の南下期まで2002年級群主体で2003年級群の出現は少なかった。 |
山 陰
15年の山陰での漁況は、混獲でみられる以外は周年皆無状態が続いた。
魚体は周年を通じて2002年級群が主体であった。
また本年も昨年とは時期を異にしたが上半期2〜6月にカタクチイワシのまとまった漁獲がみられた。
在 庫 量
本年の平均在庫量は、上半期の多さが影響した結果3万トンで前年(2.8万トン)をやや上回った。これは、少ないながらも前年を上回る国内生産であったことと、輸入量の増加傾向、そして消費の減退によるものである。越年在庫は2.5万トンで前年(3.5万トン)を下回るスタートとなった。
輸 出 入
本年の輸入ミールは、38.3万トンで前年(47.5万トン)を下回り、3年ぶりに30万トン台に戻った。
輸入ミールはマイワシを始めとした餌向け魚種の国内漁獲量の減少と為替円高もあり年々増加基調を辿っていた。しかし南米におけるミール生産の減産、近年の円安傾向も重なり一時ほどの増加傾向は見られなくなっていた。しかし、この2年間は40万トン台に輸入量も回復しつつあったが、本年は再度30万トン台の後半まで減少した。
また、平成7年頃から餌料不足による外国(米国、メキシコ)からの原魚輸入もみられており、依然この両国が主体で(夫々22,078トン、13,726トン)あるが、その他オランダ、フランス、南アフリカ、カナダ等からも輸入されており、本年は中国からの輸入も多くなっている。また国内漁獲の不振を受けて鮮魚向けにも恒常的に利用・販売されている。したがって本年は、4.4万トンで前年(3.6万トン)を引続きかなり上回った。
輸出は缶詰と冷凍に分かれるが、缶詰輸出は、サバ缶同様減少の一途を辿っており、本年は更に少なくなり0.2千トンで前年(0.5千トン)を更に大きく下回り、近年の最低を今年も更新した。
また、冷凍輸出は国内漁獲が引続き低水準であったことを反映し1.5千トンと少なく、前年(1.9千トン)をかなり下回ったが、平成年代では平成13年に次ぐ低水準であった。
価格は、缶詰が522円で前年(406円)をかなり上回り、冷凍は81円で前年(90円)を下回った。
消費地入荷量と価格
本年の10大都市の入荷量は、1.8万トンで引続き前年(2.1万トン)を下回り、依然低水準にとどまっている。
マイワシは近年の産地漁獲量も最低の水準まで落ち込んでいることから、消費地でのマイワシの入荷も減少傾向が顕著になっている。上述のように本年も輸入イワシや解凍イワシの入荷が恒常的にみられた。
価格は、386円で前年(419円)をやや下回ったものの、これは高値疲れによるものであり、かなりの高水準には違いない。家計消費でも数量、金額とも減少がみられており家庭内需要もやや落ちてきている。
塩干は、1.3万トンで前年(1.4万トン)をやや下回った。