2002年の主要水産物の需要と供給

                                              単位:数量,1000トン、価格,円/kg

 

  数  量

  本年の産地水揚量(統計情報部集計による全国49産地漁港)は、依然減少傾向が続いており233万トンで本年も引続き前年をやや下回った。

  全体的な特徴としては浮魚青物類の減少、マグロ類の増加が顕著であった。

  大きく増加した魚種は、生・冷クロマグロ、冷凍ビンナガ、冷凍カツオ、片口イワシ、スケトウダラ、タコ類であり、大きく減少した魚種は生・冷キハダ、カジキ類、生鮮カツオ、ウルメイワシ、マイワシ、サバ類、サンマ、ムロアジ、冷凍マグロ、冷アカイカであった。

  輸入は、382万トンと前年並みであった。

  この中で目立って増加した魚種は、サンマ、イワシ、メバチ、キハダ、メロ、イカ等であり、中でもメロ、サンマ、イワシは前年よりかなり多くなっており、国内漁の不振や末端需要を反映している。逆に減少した主な魚種は、アジ、サバ、サワラ、タコ、カキ等で何れも現地での生産事情を反映したものである。

輸出は、約30.7万トンで前年(31.3万トン)をやや下回った。

  本年は、国内漁が好漁であったビン長、アキサケやタラや、すり身、ホタテなどが目立って増加したが,イカは大幅に減少した。

  消費地入荷量(10大都市)は、209万トンでほぼ前年(214万トン)並みであったが近年の減少傾向は今年も続いた。

 目立って多くなった魚種は、生鮮では殻付きホタテ、活ヒラメ、冷凍ではマグロ、サケ類、ニシン、マアジ、タイ類、大きく減少した魚種は、漁不振の生鮮ではキハダ、カツオ、サワラ類、タラ類、タチウオ、剥きカキで冷凍ではコウイカであった。本年は生鮮物、冷凍品・塩干品、貝類、海藻類とも総じて横ばいであった。

  在庫量は、月平均128万トンで前年(134万トン)をやや下回った。これは、国内生産量の減少を反映したものである。

 

 価格・金額

  14年の産地価格は、163円でほぼ前年(165円)並みであった。マイワシ、ウルメイワシ、サンマ、サバ類、生鮮赤イカ等の多獲性魚種で安値推移が目立ったことによるものである。

 目立って高かったのが漁不振のマイワシ、サバ類、サンマ、タラで、イカ類のように全体の供給減の影響を受けた魚種も多かった。またマグロ類が総じて軟調市況であったのを除くと、概ね前年比10%内外の増減率の範囲で推移した。

  消費地価格(10大都市)は、796円でほぼ前年(798円)並みであった。

  目立って高くなった魚種は、産地で極端に不振であったマイワシや入荷の少なかったサワラ類、車エビ、スルメイカ、ウナギ等であり、引続き輸入が大きく減少した冷凍タコで、同様輸入が減少した冷凍サバ類やタラ類も上昇が目立った。

 逆に目立って安くなった魚種は、供給増加の生鮮マダイや冷凍マグロ、ビン長、塩干のサバ、サンマであったが、本年は大きな騰落は少なく、概ね横ばい傾向であった。

  輸入金額は、1兆7563億円(前年:1兆7236億円)で前年を327億円上回り、史上最高であった。

 輸出金額は、1371億円で前年(1348億円)を若干上回った。

 

円 レ ー 

  14年の円レート(対USドル)は、年平均126円で前年(121円)より5円の円安となった。

  円レートは、85年の9月のプラザ合意以降一時的な円安がみられたものの急速な円高・ドル安傾向が10年間続いた。

  しかし、95年秋から円安に転じ、97年以降に証券会社、銀行の倒産が続き金融システム不安等も重なり一層円安が進行し、98年も一時140円台の安値を記録するなど秋口まで円安が進行した。その後、一時年末にかけて円高(113円)へと反騰したが、99年は夏場までやや円安(114〜121円)で推移したが、下半期には急激に円高に反騰し、12月は103円まで急騰した。2000年は年末の円高の103円からスタートで、一時的な円高はあったが、基本的には円安傾向で推移し、年末には111円まで下げた。2001年は長引く不況や銀行、ゼネコン、流通分野での倒産、再編もあり、年を跨いで急激な円安が進行し、9、10月に119円とやや円高に戻したものの12月には124円と円安に急落した。2002年には131円の円安から始まってその後円高に転じ、8月に118円まで上昇したが、一向に景況感の低迷もあり12月には122円まで下げた。その結果、為替は10年前の水準まで戻した。

 (参考:84年237円→85年240円→86年170円→87年146円→88年128円→89年137円→90年145円→91年135円→92年127円→93年112円→94年102円→95年94円→96年108円→97年121円→98年131円→99年114円→2000年107円→2001年121円→2002年126円)

 

 石 油 価 格(1kl当たり)

  14年のA重油価格は、年初は前年末からの28,000円から始まり、2月上旬には27,500円に下げ、その後2月下旬26,500円、3月下旬25,500円、4月下旬24,000円まで続落した。しかし6月中旬25,500円と反騰したが、7月上旬に再度25,000円まで下げ、9月下旬まで続いた。その後下旬後半に25,500円に上げ、10月中旬に27,500円、11月上旬28,000円と年初の水準まで戻し、年末まで続いた。総じて本年は低水準の推移であった。

  参考:近年の最高値74,000円/kl(1982年11月)