ＪＡＦＩＣ／市場年報2001年マイワシ

2001年　マイワシ

　　　　　　　　単位：数量，1,000トン、価格，円／kg

漁獲量と資源

　13年のマイワシの漁獲量は、前年若干上回ったものと推定されるが、近年では98年（16.7万トン）並みの、20万トン弱にとどまる低水準であったと推定される。

道東漁場では、引続きマイワシの漁獲は皆無(カタクチは60トン弱の漁獲)、北部太平洋海域では三陸、常磐とも夏場にややまとまった漁獲でかなり増加した。また、昨年漁獲の急減をみた山陰では、漁獲が1000トンにも満たない凶漁であった。なお北海道の噴火湾で11月にややまとまった漁獲があった。

太平洋系群のマイワシ資源はＳ50年代以降、資源の増大期に入り、1972年卓越年級群発生を契機として、1980年の大卓越年級群を中心に、1987年のピーク時までその後の卓越年級群の発生により高水準の漁獲を保証してきた。しかし、1988年頃から漁獲は減少に転じ始め、各年級群の加入量も少なくなり、その資源量水準は減少を続けている。

　それでも95～99年までは低水準ながらも安定していたが、2000年級群以降は再度少なくなっている可能性が高いといわれている。

日本海での資源状態も近年低位で、資源動向も減少傾向にあり2000年は1999年を下回る資源量といわれている。

産地水揚量と価格

　13年の水揚量は、12.4万トンで前年（9.5万トン）をかなり上回った。価格は、73円で前年（91円）を下回った。

　本年は、北部太平洋海域の三陸・常磐で6～8月にかけてややまとまった漁獲がみられたのみで、低水準に変化はなく前年より上回った程度であった。

したがって、市況は73円で前年(91円)を下回った。

なお、本年のミール相場は、年明けの8.05万円から始まったが、１月中旬に8.25万円にあげ、４月中旬には8.65万円まで上昇した。その後も６月上旬に8.95万円、８月上旬には9.95万円に達した。９月に入って一時9.45万円に下げたものの、10月中旬には再度上昇に転じ9.85万円、下旬には10万円を突破し12月中旬には10.25万円まで高騰した。本年は周年を通じて総じてジリ高傾向であった。

三　　陸

13年の三陸での漁況は、初漁期（北上期）の4､5月は昨年同様に低調であり、夏場の盛漁期に唯一8月にまとまったのが目立った程度であった。

秋から冬場の南下期は昨年以上の低調さで、9～12月にかけても殆どまとまった漁獲はみられなかった。

魚体は、周年を通じて2000年級群主体に99年級群が若干混じって漁獲された。

常　　磐

13年の常磐での漁況は、初漁期に昨年を下回ったもののややまとまり、その後の北上期には昨年を大幅に上回って推移した。しかし、後半の南下期には殆どまとまった漁獲もみられず、例年のように当歳魚の漁獲もなく、来年に不安を残した。

　魚体は、初漁期から夏場の北上期までは2000年級主体に99,98年混じり、漁期後半の南下期は2000年級群主体で2001年級群は皆無であった。

山　　陰

　13年の山陰での漁況は、昨年以上の凶漁で周年を通じて目立った漁獲はなく、漁獲も1000トンにも満たなかった。

　魚体は周年を通じて2000年級群が主体であった。

　また本年も10,11月にカタクチイワシのまとまった漁獲がみられた。

在　庫　量

　本年の平均在庫量は、2.9万トンでほぼ前年(3万トン)並みであり、平成年代で最も少なかった前年以上の少ない在庫となった。これは産地水揚げが2年続きで極端に減少したことによるものである。しかし越年在庫は3万トンで夏場に漁況が回復したことで在庫が増加し、前年(2.1万トン)を大きく上回るスタートとなった。

輸　出　入

本年の輸入ミールは、47.3万トンで前年（33.3万トン）を大幅に上回り、平成７年(1995)の58.8万トンに次ぐ多さであった。

　輸入ミールはマイワシを始めとした餌向け魚種の国内漁獲量の減少と為替円高もあり年々増加基調を辿っていたが、一時、南米におけるミール生産の減産、近年の円安傾向も重なり一時ほどの増加傾向は見られなくなっていた。しかし、本年は再度増勢基調に向かい前年を大幅に上回った。

　また、平成７年頃から餌料不足による外国(米国、メキシコ)からの原魚輸入もみらており、依然この両国が主体で（夫々11,066トン、6,660トン）あるが、国内鮮魚不足も手伝って本年も鮮魚向け用にもＥＵ諸国、中国等からも輸入されている。したがって本年は、2.5万トンで前年（2.4万トン）並みであった。

輸出は缶詰と冷凍に分かれるが輸入とは反対の動きを示し、缶詰輸出は、サバ缶同様減少の一途を辿っており、本年も更に少なくなり0.9千トンで前年（0.9千トン）並みの低調さであり、近年最低を更新している。

また、冷凍は国内漁獲が引続き低水準であったことを反映し1.3千トンと少なくなり、前年(2.5千トン)を下回り、平成年代で最低を記録した。

価格は、缶詰が377円で前年（346円）並みで、冷凍は83円で前年（86円）をやや下回った。

消費地入荷量と価格

本年の10大都市の入荷量は、3.4万トンで前年（3.7万トン）を引続き下回った。

　マイワシは一昨年を例外に近年の産地漁獲量の減少傾向から、消費地でのマイワシの入荷もはっきりと停滞･減少状況が続いており、本年も入荷はやや少なくなり、上述のように輸入鮮魚イワシもみられた。

価格は、299円で前年（308円）をやや下回ったが、末端消費でも数量、金額とも減少がみられており需要の減退傾向を反映している。

塩干は、1.5万トンで前年（1.6万トン）並みで、大きな変動は見られなかった。