2000年サンマ                   

                                               単位:数量,1000トン、価格,円/kg

漁 獲 量

  12年の漁獲量は昨年、一昨年と続いた2年続きの不漁を脱し、約22万トンに達したとみられるが、まだ完全復活とはならず、近年の中では依然低水準の数字であることに違いはない。

 また、本年は漁獲が極めて低調であったこともあって、昨年同様定時休漁以外の休漁はなく、漁期一杯までの操業となった。

 なお、今年は3年程前から話題になっていた選別機は、大半の船がカタクチイワシの選別機として搭載しており、2年続きの不振もあって資源論議が大きな話題になった。

 

漁況の経過と魚価の推移

                                       全サンマ資料

  近年は漁期当初の7月から10トン未満船(刺し網・棒受け網)の操業となるが、本年は昨年、一昨年とはやや様相が違い、刺し網主体にやや好調に推移した。その後大型船が出漁した8月下旬に入って漁況は更に好調になり、9月の盛漁期に入っても、漁況は好調に推移した。 

 漁場も初期は道東沖合、そして択捉島・色丹沖合、その後色丹近海から道東沖合に形成され、道東沖漁場は10月下旬まで一杯続いた。 

 9月下旬以降は、三陸北部にも漁場が形成され始めたが、主に道東沖合が主漁場で、10月下旬に三陸が主漁場となるまで続いた。10月下旬以降、漁況はやや落ち気味となったが、本年は11月中旬以降常磐沖にも漁場が形成され4年ぶりに常磐から犬吠埼近海(前線北側)での本格的な漁場形成がみられた。しかしその頃には魚体も中型主体に変わり、つれて漁況も落ちてきた。なお、本年も9月下旬(本格化したのは10月中旬)から11月上旬までオホーツクでの操業もみられたが、昨年を大きく(1/3)下回る漁が続いた。 

 魚体は、本年は昨年に比べ大型化し、大型船が出漁した頃から9月まで大型が4〜5割の組成で推移し、昨年を大きく上回り、特大魚と肥満度の高さが特徴であった。また11月以降は中型主体に変わったが、漁期全般を通じてみると大型・中型魚が主体であった。

  魚価は、2年続きの不漁から極めて少ない漁期前の在庫であり、2,027円と昨年(1,520)以上の高値スタートとなった。その後大型船が出揃った8月もまだ昨年を上回って推移したが、9月以降は、昨年を上回る漁となることが大勢を占め、前年を下回る推移となった。

 

在 庫 量

  本年は2年続きの不漁もあって昨年の3.8万トンよりも更に少なく近年でも最も少ない2.8万トンの越年在庫から始まった。この傾向は、漁期前の6月末には9,093トン、7月末には更に少ない6,791トンと昨年より更に少ない在庫となった。しかしその後漁獲が本格化した8月以降徐々に在庫は増加傾向に転じた。特に昨年より好漁が決定的になった10月以降は、在庫も急激に膨らみ始め、10月以降は前年を上回る推移となり、越年在庫は4.4万トンと前年(2.8万トン)、前々年(3.8万トン)を上回った。

 平均在庫量は、漁がやや持ち直したものの前半の少なさを反映し、2.2万トンで前年(2.4万トン)をやや下回った。

 本年は、昨年に比べ型が回復し、やや大きくなった。

 

消費地入荷量と価格

  12年の消費地入荷量(10大都市)は、3.7万トン(生3万トン、冷0.7万トン)と産地での漁がやや持ち直したこともあって生主体に前年3.5万トン(生2.7万トン、冷0.8万トン)をやや上回った。

  本年は、2年続きの不漁の影響から在庫も少なく、上半期に消費地への入荷量も当初から前年以上に少なかった。最需要期の9〜10月にも昨年を上回る入荷となり、前半の少なさを挽回した格好となった。

 また入荷の主体は40尾、45尾主体で前年(45、50尾)より一回りサイズが大きくなり、2年続きの型の小ささを脱した。

 また、本年の塩干物の入荷は0.7万トンで前年(0.7万トン)をやや下回った。

  本年の価格のピークは例年の8月とは違い7月にみられたが、これは2年続きの不漁で上半期、在庫も少ないため7月にきたもので、8月に入って漁が出始めたことで、2年続きの不漁を脱しそうな判断が価格に反映したものとみられる。その後9月に入って急落し、10月以降も下げ、概ね昨年をやや下回る推移であった。

平均価格は生571円(前年586円)、冷448円(前年375円)、塩576円(前年547円)であったが、冷凍、塩干は前年来の高値の影響を受けて特に漁期になっても大幅な下げにつながらず、実質的な下げは10月以降であったため、昨年以上に高かった。

 

輸 出 入

  本年の輸入は、11,279トンで前年(5714トン)を大幅に上回った。

 これは、国内漁が2年続きの不漁で、漁期前に昨年を大きく上回る輸入がみられたことによるものである。輸入の80%(8687トン) は台湾からで残りは韓国からであった。

  輸出はH4年をピークに近年減少傾向が続いているが、本年は6.4千トンと漁の若干の回復もあり大幅に増加し前年(0.7千トン)を大きく上回った。

 価格も、輸入190円(前年255円)、輸出198円(前年180円)であった。

 本年は周年を通じてコンスタントに輸出されており、時期的な集中はみられなかった。

 本年はアンティル(缶詰?)が最も多く、フィジー、米国、サモア、トリニダッドドバコ向けとなっている。