00年カツオ

　　　　単位：数量，1000トン、価格，円／kg

漁業・資源・漁獲

日本のカツオ漁業は、千葉以南の沿岸で行われている曳縄を別にすると大別し一本釣りとまき網に分けることができる。また、カツオの漁獲量の大半がこの２つの漁種により占められている。

　昭和39（1964）年南方竿釣り漁業が周年操業化、同45（1970）年の開発センターの調査を境にして同49(1974)年に海巻き操業の本格化がみられ、漁場は南及び東方にも拡大し、10゜Ｓ以北、155゜Ｗ以西の中央〜西部太平洋で広範囲に形成されている。更にインド洋(現在は撤退している船も多い)、タスマニア、ニュージー海域での操業もみられるようになり、その比較的豊富な資源量と品質的安定もあり、特に海巻物は節業界にとっては輸入物としての搬入もあるが、貴重な加工原料となっている。

　中西部太平洋の漁獲量は、1988年に50万トンを越え1990年代に入り70万トンを越える漁獲が続き、ＣＰＵＥに明瞭な減少傾向がみられないことや、標識放流データを用いたモデル計算でも開発の余地があること、などが報告されており、安定した資源状態を維持しているといわれる。インド洋の資源も、1983年の6万トンから1998年の22万トンへと急激に増加しその後の漁獲量も25万トン前後の安定がいわれており、漁獲の半分を巻網(フランス、スペイン、日本)残りを(モルジブの竿釣りとスリランカの流し網)でとっているが、概ね健全であるとの評価がなされている。

　また、近年南方漁場では、日本船以外の外国船も多く操業がみられ、その漁場は主にニューギニア海域となっている。海巻の勢力は、西部太平洋では主に日本、台湾、韓国、米国、フィリピン、ミクロネシア、ソロモン、バヌアツ、豪州、ロシア、その他、東部太平洋ではメキシコ、エクアドル、ベネズエラ、バヌアツ、米国、コロンビア、その他ベリーズ、キプロス、ホンジュラス、中国、スペインが、東部大西洋ではスペイン、フランスのまき網、ガーナ、スペイン、ポルトガルの竿釣り、西部大西洋は主にブラジルの竿釣りが操業を行っているが、この海域では本格的解析がないが、全体としては過剰漁獲には至っていないといわれている。

　また、国内供給問題では、従来の生食用のＢ1カツオに加えて、８年前から海巻Ｂ1（ＰＳ）製品の生産もみられ、量的にはＢ1に比べるとまだ少ないものの、末端の特売用商材として既に定着化している。

近年のカツオの漁獲量は、30〜45万トについで多い部類の35万トン前後と推定される。

産　地　水　揚　量　と　価　格

　12年の産地水揚量は、27万トンで前年23.4万トンを上回った。

　内訳は、生7.7万トン、冷19.3万トン（前年：生6.4万トン、冷17.0万トン）であった。

　本年の生鮮（日本近海）の漁況は、初漁期（1〜4月：犬吠埼以南の本邦南岸域漁場）の釣り漁場は依然低調で悪かった昨年並みの不振であった。

　その後、黒潮前線を越えてからの三陸・常磐沖での漁は、昨年以上に好調でかなりの長期間に亘って漁場形成がみられた。したがって、漁獲は釣、まき網とも昨年を上回った。

　海域別漁獲量は、三陸70％（前年：71％）、常磐16％（前年：19％）、南西・東海6％

（前年：4％）、九州西部5％（前年：4％）九州南部3％（前年：2％）であった。

　本年も漁場形成の主体は前年同様三陸・常磐でであり、その他の海域は大きな変化はみられなかったが、黒潮域での引続き若干の漁獲の増加がみられた。

　冷凍は、竿釣り、海巻きとも増加が顕著であった。また、本年の海巻きは、引続きメバチ（ダルマ）が増加傾向にあり、キハダが減少した。釣りはビン長に対する外食産業をはじめとする末端の支持もあって、東沖トンボへの漁獲努力もみられたが、漁獲の大幅減少がみられた。

　価格は、生162円（前年229円）、冷109円（前年151円）で推移したが、生、冷とも漁獲の増加を反映した結果となった。

消　費　地　入　荷　量　と　価　格

12年の消費地入荷量（１０大都市）は、3.9万トンで前年（生3.1万トン）をかなり上回る入荷となった。本年は特に産地での好漁が反映した結果である。

カツオはサンマと並んで、現在でも比較的旬がみられる代表的な魚でもある。しかし、近年Ｂ1製品の普及で市場外流通主体の「タタキ」や東沖「トロカツオ」、「トロビン」も定着しており、ビン長はいまだ外食産業の需要が強いといわれる。したがって、従来型のラウンド流通する市場型はやや苦戦を強いられている面もあるが、本年は漁獲が多かったことと安値でもあり、特に5月以降の入荷の増加が顕著であった。

　しかも、特にここ数年の傾向でみると、三陸の「下りカツオ」の消費の広がりもあって多かった昨年以上に南下期（下りカツオ）の秋口（９、10月）に消費地市場への入荷も近年では最も多く、周年型へとシフトがみられている。

価格は、396円で産地での水揚げ増加もあって、前年の526円をかなり下回った。

輸　出　入

カツオの輸出は、原魚と缶詰に分かれるが、缶詰輸出は既に国際競争力を失って久しくなっており、国内漁の如何を問わず依然非常に低水準である。したがって、原魚の大半が海外缶詰生産用の輸出となっている。

本年は、原魚1.3万トン（前年1.5万トン）、缶詰2.5千トン（前年1.1千トン、前々年7.5万トン）であったが、原魚輸出は国内漁の好漁もあったものの、世界的な供給の増加もあって前年を下回った。この結果国内的には、輸入物の増加もあって、生鮮、冷凍物が供給オーバーとなり、価格の暴落を

招来した。

輸入は平成年度に入ってから年々増加傾向がみられる。これは節用需要の高まり（竿釣船のＢ1化に伴い国内の需要を満たしきれなくなった）で量、価格、品質とも安定している輸入物への依存度が高まっているためである。本年は国内漁及び海巻物増加したものの、円高もあって輸入は若干増加した。したがって、本年は7.8万トン（前年7.6万トン）であった。

価格は、58円で前年(80円)を大きく下回った、これは輸入量の多さと世界的に供給増加による｢価格の下落が反映したことによるものである。