00年イカ類
単位:数量,1000トン、価格,円/kg
ス ル メ イ カ の 資 源
平成年代に入って日本近海のスルメイカの漁獲は、平成10年を除くとかなり安定的に推移しており、20〜40万トン台の高い数字を記録している。
太平洋側の漁獲の殆どを占める冬生まれ資源は、70年代中盤以降低水準であったものの、89年以降増加に転じ、90年代に入って中〜高位の水準で安定していた。しかし、98年が一転極めて少ない水揚げとなったことで、不安定もあったが、それも昨年、本年とも好調に推移したことで、この可能性はなくなった。
日本海(対馬暖流系)での近年の秋生まれ群の資源水準は、年によって若干の変動もみられる場合もあるが、冬生まれ群ほどではないが基本的には好水準が維持されていたが、本年はやや沿岸での漁は低調で若干少な目となっている可能性もある。
産 地 水 揚 量 と 価 格
12年のスルメイカの水揚量(42港)は、12.5万トン(前年6.8万トン)、冷4.9万トン(前年4.1万トン)と生鮮・冷凍とも大幅増加となった。特に生鮮は、太平洋での釣り、トロール、まき網、定置とも前年に比べ更に好調で大幅な増加となったためである。冷凍は、本年も昨年同様北陸船団がスルメイカ、青森、北海道、岩手船団がアカイカ(ムラサキイカ)と当初から分かれての操業が定着したが、本年も赤イカが当初から不振で、日本海や太平洋マイカ操業に切り変えながらの操業であった。
生マイカの海域別漁獲量は、日本海16,884トン(前年24,727トン)、太平洋97,030トン(前年41,484トン)、オホーツク6,124トン(前年1,487トン)であった。本年の特徴は、太平洋、オホーツク海域とも大幅な増加がみられたことである。
本年も中型船凍船は、当初スルメイカとアカイカ操業とに分かれたが、上述のように前半はスルメイカ、赤いかとも不振で、ようやく秋から冬場にかけて漁がでたのが特徴であった。
また本年もイカ業界では、従来からスルメイカ一極集中の排除、三極漁場の選択的移動、付加価値の高い魚種やサイズ選択等の指導は本年も続いた。
産地価格は、生鮮130円で前年(222円)を引続き大幅に下回り、冷凍も123円で生の好漁の影響を受けて前年(182円)を更に下回った。
これは、@生鮮が、太平洋側主体に釣り、トロール、定置、まき網とも漁が好調であったこと、A冷凍も、生の好漁で必ずしも好漁ではなかったものの、当初から在庫も多く、しかもサイズ組成も18〜20尾、21〜25尾サイズが33%と前年(50%)と前々年(65%)より更に少なく、26〜30サイズ(38%)が多かったこと、BAR,FOR水域で昨年ほどの好漁ではなかったが、水揚げもそれなりに順調であったこと、等が重なったものである。
在 庫 量
12年は前年来の7.8万トンのやや重い在庫から始まり、上半期はそれなりの減少をみた。しかし、新漁の水揚げが始まった6月頃を境に徐々に増加し、本格化し始めた秋口には在庫が急激にふくらみ、越年在庫も10.5万トンと前年を大幅に上回った。年間を通じた平均在庫量も、7.3万トンで、末端需要も低迷し(消費支出も減少傾向)、前年(6万トン)をかなり上回った。
消 費 地 入 荷 量 と 価 格
スルメイカの消費地入荷量は、生5.4万トン(前年5.0万トン)、冷凍1.6万トン(前年1.5万トン)であった。本年は産地での漁が引続き好漁であって、生主体にが増加した。しかし、冷凍は生の多さと、末端需要の低迷=売り方の変化=生嗜好もあって安値にも拘わらず前年並みであった。
価格は、生358円(前年405円)、冷261円(前年336円)で生が搬入の多さにより続落したが、冷は前年末の安値の影響を受けて、本年は周年安値であり、浮上の機会はなかった。
NZイカ
12年のNZイカ釣漁は、大型船2隻のみの操業で前年(大6隻)を下回り、1,087トンで前年1,331トンを下回った。1隻当りの漁獲量は544トンで前年(222トン)を大きく上回った。
NZイカの産地水揚量(全漁連)は、1,434トンで前年(1,752トン)をやや下回った。
価格は、184円で3年続きの不漁にもかかわらず、前年(190円)をやや下回った。
SWAイカ
12年のSWAマツイカ釣漁は、AR31隻−85,012トン(前年33隻−108,575トン)、FOR15隻−20,488トン(前年13隻−33,691トン)、SA公海43隻―9,317トン(21隻―5,282トン)であったが、公海を除くとフォークランド、アルゼンチンとも総水揚げ、1隻あたりとも減少をみた。
産地水揚量(全漁連)は、88,012トンで前年(115,693トン)を下回った。
価格は138円で前年(150円)を下回った。本年は、水揚げは減少したものの本チャンスルメイカの好漁と、それなりの漁がみられたことを反映し4年続きの最安値となった。特に秋口以降の安値が顕著であった。
アカイカ
本年も、漁期当初から八戸船団を中心に函館、岩手船団の大型・中型凍結船は赤イカ操業がみられた。今年の漁況は漁期当初から昨年以上に極端な不振が続き、秋から冬場にかけてやや上向いたが、不振を挽回するには至らず、近年でも最も少ない水揚げであった昨年を下回った。また、本年は小型船も昨年同様みるべき漁もなく、低調な水揚げに終始した。なお、大型船(沖合操業)は22隻1,418トンであった。
全漁連集計によると、生1,252トン(前年158トン)、冷1.6万トン(前年3.4万トン)であった。
産地価格は、生161円(前年153円)、冷293円(前年227円)であった。水揚げの減少と海外いかのサイズアソートが特大に偏り、市況も2桁台の安値に終始しタコとを受けて、久しぶりに「堅調」な1年となった。
海外赤いかは、主に再開されたペルー主体にコスタリカであったが、夫々、27隻-66,778トン、29隻-24,244トンで、昨年実績(コスタリカ-11隻で605トン)を大幅に上回った。
輸入イカ
12年の輸入イカは、5.6万トンで前年(6.3万トン)をやや下回った。
価格は、やや上昇し422円で前年(388円)を上回った。
冷凍イカの主要輸入国は、アルゼンチン122トン(前年599トン)、インド1,872トン(3,681トン)、台湾318トン(前年2,271トン)、中国24,405トン(前年20,963トン)、モロッコ2,904トン(前年1,806トン)、タイ7,138トン(前年26,040トン)で本年も昨年に引続き中国の増加傾向が顕著であったが、タイは大幅な減少となった。
12年の輸出は、3.4千トンで前年(2.7千トン)をやや上回った。これは12月箪月で1000トン以上の輸出があったためである。
モンゴイカ
12年のコウイカの輸入は、4.1万トンで前年(4.3万トン)を引続きやや下回っており、減少傾向に変化はない。
価格は、552円でほぼ前年並み(559円)であった。
消費地入荷量は、0.8万トンで輸入の減少や末端需要の薄さ=代替品もあり、引続き前年(1.2万ン)を下回った。
価格は、715円で需要の弱さを反映して前年(784円)を更に下回った。
このイカは殆どが業務用需要であるが、既に需要の落ち込みも極端で、末端ではソデイカ等の競合商材や調整製品として輸入商材の台頭もあって、年々厳しい状況がみられており,本年も続いた。