店舗調査隊

覆面調査員「Mrs.KAORIN」。今日もどこかでおさかな達を徹底調査中!
今日の献立に役立つ情報はもちろん,魚を通して日本や世界の経済や文化・気象・環境問題までを「おさかなのエキスパート」が一消費者の視点に立ってレポートしています。
2010年11月号

大手スーパーの工夫

【切り身をバリエーション豊かな料理に】

ひと昔前までは魚は魚屋さんで買うものでしたが、今では大手スーパーで、野菜やお肉と一緒に買うのが主流になりました。

大量仕入れで魚の規格が統一された上に、手軽さや食べやすさから切り身として店頭に並べられています。しかし同じ魚の切り身でも、味付けを変えれば別の料理に早変わり!

調理法は同じでも、味が変われば別物です。店側もそれを知っていて、みそ味、粕漬け、照り焼きなど定番はもちろん、バジルソースや唐辛子味まで揃っています。

パック詰めではなく、色々な種類を好きな分だけ購入できるようバットに並べられていました。こういう工夫は買う方としても嬉しいですね。

【切り身ばかりと思いきや...】

とある海沿いの街の大手スーパーでは、近くの漁港の定置網で揚がった朝獲れ魚を丸のまま売っていました。魚料理の中級者以上には、こうした「朝獲れまるごと魚」の発見は心躍る瞬間です。

【お買い得な魚】

その「朝獲りまるごと魚」の中でも、お買い得なのがこちらのイサキ。

イサキと言えば高級魚。25cmから26cmの塩焼き、お刺身サイズのもので1500円以上はしますが、イサキの子となると話は別。手のひらより一回り大きいサイズが5匹で398円!

「塩焼きもいいし、フライもいいけど、やっぱりお刺身が一番お勧めです」と、店員さん。

メニューが決まるとそれ用に捌いてくれます。これ、大手スーパーでは当たり前になってきてますね。最近CMでも良く見かけます。

すぐに調理が出来る上、内臓などのゴミも出ないので、買い手には嬉しいサービスです。

【価値が付き始めた魚】

「こんな魚も売るの?」
と驚いたのは、こちらのトロ箱。中は一般的に食用にされていない魚たちです。

ストライプが鮮やかなカゴカキダイ。皮下に脂肪が付き、きれいな白身です。

赤い魚はキントキダイの仲間。おそらく、チカメキントキの子供です。こちらもきれいな白身で、お刺身やしゃぶしゃぶにすると美味しいお魚です。

ナナメに黒い筋がある魚はコショウダイ。白身で身の締りが良く、3日から5日後のお刺身がまったりしておいしい魚です。

その隣の4匹並んでいるのがメアジ。その名のとおり目が大きいです。普段スーパーで売っているマアジよりも血合いが多いものの引けを取らぬおいしさで、しかも、安価です。

箱からはみ出してるメアジの隣に大きな二股の尻尾だけ見えているのがツバメコノシロ。「あごなし」とも呼ばれていて一度に多く獲れないので産地で消費される魚です。塩焼きやフライがオススメです。

手前に大きく横たわっているのがボラです。この時期のボラはからすみを作るため卵が目当てで、身は捨てられてしまいます。

オスのボラも捨てられていました。しかし、冬のボラは鯛の刺身と間違えると言われるほどおいしいです。ちなみにオスのボラでした。

【 kaolin’s Eye 】

こちらのスーパーでは、一般には知られてない魚が季節ごとに並ぶようです。

流通に乗らない為、市場に出る前に捨てられている魚を無駄にしないよう、各地の漁協が頭を悩ませている中で、これはとてもいい取組だと思いました。

しかし消費者は、慣れ親しんでいるイサキやアジ、イワシは躊躇せずに購入するものの、聞いたこともない名前の魚は、説明を受けても購入までには至らないようです。

販売者がより知識を増やすことはもちろん、いかにお客様に「食べたい!」と思ってもらえるようにするかが課題であると感じました。

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